【個別銘柄分析】ゆうちょ銀行(7182)

ゆうちょ銀行ウェブページより

株価情報

株価:929円
配当利回り:5.06%
(2021/11/26終値)

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トカゲ分析

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配当利回り   ★★☆
1株配当金推移  ★★☆
EPS推移    ★★☆
PER      ★★☆

トカゲコメント:
2007年10月に民営化によって誕生した日本郵政グループの銀行。全国に展開する郵便局ネットワークを通じて金融サービスを提供。日本郵便に銀行窓口業務を業務委託する形をとっている。

通常貯金口座数は、約1億2,000万口座。家計部門の預貯金に占めるゆうちょ銀行への貯金割合は約20%と推計される(2021年3月末)。預貯金残高は189.5兆円で、国内最大の規模を誇る(2位の三菱UFJ銀行は182兆円。2021年3月末現在)。

企業向け貸出と海外展開しているメガバンク3行と異なり、ゆうちょ銀行は国内展開のみであり、企業向け貸出の規模は小さい。そのため2008年のリーマンショック時にメガバンク3行の純利益が軒並み赤字転落した際もゆうちょ銀行の純利益は軽微な影響しか受けず黒字を保った。

ゆうちょ銀行の業務粗利益(一般の会社の売上総利益(=売上ー売上原価)に相当)の70%超は資金利益が占める。これは189兆円という巨額の貯金を国債や株式などで運用することで得る収益のことである。2007年の民営化当時は大半が日本国債の運用であったが、日本の低金利環境で運用環境が悪化したため、国際分散投資に移行されている。市場部門の責任者は、専務執行役員の笠間氏である。笠間氏はゴールドマン・サックス証券でマネージング・ディレクター クレジット・トレーディング部長を務めた経歴をもち、ゆうちょ銀行に2015年に入社した。

今月12日の第2四半期決算で、通期業績数値の上方修正を発表。株価が急騰した。具体的には、当期純利益を前回発表予想から+34.6%上方修正。年間配当金予想を前回予想の40円から47円に上方修正した。

EPS推移は、2018-2020年度が低調だったが2021年度は回復の予想。長期ではフラットといえる。売上高は微減の傾向。1株配当はフラット。2021年度予想は3円の減配だが、今後さらなる上方修正があるか要注意。PERは業種平均より若干高めだが、割高ではない。

トカゲ自身は、魅力的な配当水準とセクター分散を理由に投資している。今後の成長にはほとんど期待していないが、ゆうちょ銀行が不要になる状況は想像しにくい。現在メガバンクが店舗統廃合やATMの削減に動いているなか、圧倒的な総店舗数(全国銀行合計の約2倍)やATM台数を強みとして挙げており、真逆の方向性を志向している。地方や高齢者にとってゆうちょ銀行の果たす役割は大きいとトカゲは考えている。

一方、今後の大きな懸念点の一つが日本郵政による保有株式の処分である。現在ゆうちょ銀行の株式の88.99%は親会社の日本郵政が保有している。郵政民営化法では、ゆうちょ銀行の経営状況、ユニバーサルサービスへの責務の履行への影響を勘案しつつ、できるだけ早期に全株処分を目指す、としている。さらに日本郵政は、中期経営計画期間中(2021年度ー2025年度)のできるだけ早期にゆうちょ銀行の株式保有割合を50%以下とする方針を発表済みである。株式売却の時期や規模は未定だが、実際に売却の発表がされた際や売却が行われた際は、株価が下落する可能性が高い。

基礎データ

EPS推移

企業ウェブページのデータよりトカゲ作成 
単位:円

1株配当推移

企業ウェブページのデータよりトカゲ作成
2015年11月上場であり、2015年度は期末配当のみ。2012-2014年度は無配。
単位:円

PER比較

JPXウェブページよりトカゲ作成 
東証一部平均および業種平均は2021年7月時点

売上高推移

企業ウェブページのデータよりトカゲ作成
2021年度の売上(正確には経常収益)の予想は非公表
単位:百万円

中期経営計画

企業ウェブページより

2021年5月に5カ年計画である中期経営計画(2021年度~2025年度)「信頼を深め、金融革新に挑戦」を発表。

基本方針
1. リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革
2. デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上
3. 多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化
4. ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化
5. 一層信頼される銀行となるための経営基盤の強化

財務目標(2025年度)※トカゲが抜粋
・収益性
連結当期純利益 3,500億円以上 vs. 2020年度実績 2,801億円
ROE 3.6% vs. 2020年度実績 3.06%
・効率性
営業経費 対2020年度比マイナス550億円
・健全性
自己資本比率 10%程度 vs. 2020年度実績 15.53%

2020年度の経常利益実績3,942億円(純利益2,801億円)から2025年度経常利益目標の5,000億円(純利益3,500億円)への増加を達成する計画は次の通り。市場運用・リスク管理深化による資金収支等で+310億円、リテールビジネスの変革による役務取引等利益で+230億円、業務改革・生産性向上による営業経費削減で+550億円。


株主還元
・株主還元・財務健全性・成長投資のバランスを考慮し、中期経営計画期間中は、配当性向は50%程度とする方針
・ただし、配当の安定性・継続性等を踏まえ配当性向50~60%程度の範囲を目安とし、1株当たり配当金は、2021年度の当初配当予想水準からの増加を目指す
・今後の利益の拡大や内部留保の充実、規制動向等の状況によって、追加的な株主還元政策を実施することも検討
・配当の回数については、当行の運用ポートフォリオの状況を踏まえ、新型コロナウイルスの影響等により市場の不透明性が大きい間は、期末配当の年1回とする方針
・自己株式(約1.3兆円)については、消却を行う方針
 →2021年9月に、75万株の自己株式を消却済み。消却後の自己株式数は、7万株

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